ZoomUpフレンズ
代表者 | 日置智佳子 |
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創業 | 2000年 |
住所 | 東京都豊島区高田2-18-24 1F |
ホームページ | http://hio-web.com/ |
事業内容 | 婦人靴の企画・卸。 オリジナルブランド『ヒオ』は、ガールズファッションのハイエンドとして独自性と品質の高さをキープする。 |
KFC: 会社を設立したのはいつですか?
日置さん: 2000年6月に、(株)ヒオックスの前身である(有)ヒオを作りました。約1年の準備期間を経て、個人事業主から会社にしました。KFCクリエイティブスタジオに入居したのは、その翌年です。
KFC: 独立しようと思ったきっかけは?
日置さん: 自分が履きたいと思える靴がどこにも売ってなかったから、というのが一番の理由です。当時のファッションは靴も含めカジュアル一色で、可愛いハイヒールが全然売ってなかった。輸入物のハイヒールはマダムっぽくてカッチリしていたし、もっとフェミニンな靴が欲しくて、お花がついたような可愛いハイヒールを探していました。「私の他にも欲しい人がいっぱいいるはず。競合もいないし、自分で作ろう!」と思い立ったんです。
KFC: シューズデザイナーとして、どのように経験を積んだのですか?
日置さん: 美大を卒業後、靴メーカーに就職したのですが、当時の靴業界は旧態依然のおじさん体質で、イメージしていたファッション業界とは大きく違っていました。その後、ラボキゴシの社長に、「ウチに来ないか」と声をかけられ転職しました。
当時(1980年代)はDCブランドが花開いた時代、コム・デ・ギャルソンやワイズ全盛期。靴は真っ黒いカラス族のカジュアルなものばかりで、若い人たちはファッションに飢えていた時代でした。そこでハイヒールブランドを作らせてもらって、ゼロから立ち上げ、3年で1億円の売上にしました。ロゴ、グラフィックからショッピングバッグまで、ブランドのすべての行程を担当させてもらいました。また、納品書や請求書の書き方など、会社経営に必要なこと全てをその時に学ぶことができました。ブランドの立ち上げと経営に必要な経験が今に生きています。
KFC: 独立後、商品はどのように展開したのですか?
日置さん: サンプルを7デザインで3色ずつ作りました。そのカタログをもって、狙いを定めたセレクトショップ2社に売り込みに行きました。2社ともその場で即決、置いてもらうことができたんです。ちょうどその頃、日本人クリエーターが注目されはじめ、セレクトしてもらえる時代になっていました。シューズデザイナーとして雑誌にも取り上げられ、三原康弘さんと見開きで紹介されたこともありました。
KFC: ヒオさんの靴の特徴は?
日置さん: 甘口でフェミニンなテイストで、木型から全工程ハンドメイドが特徴です。外側からは見えない芯材や裏にも気を遣い、熟練の製甲職人さんに縫製してもらって、できる限り機械を使わずに手吊りと呼ばれる成型方法を採用しています。それはすべて、「足にやさしい靴づくり、柔らかい雰囲気を出すため」のこだわりです。
実は小さい頃からクラシックバレエを習っていて、大学生の頃にはジャズダンスを踊っていました。歌番組のバックダンサーとしてよくテレビにも出ていましたよ。狭いステージでハイヒールを履いて踊るので、足にピタッと合った靴が欲しいのですが、なかなかなくて。ダンサーの経験はハイヒールと足の関係をより深く知る上でとても勉強になりました。
また、男性目線のセクシーなものでなく、女性目線で可愛いデザインの靴を作りたいと思っています。
KFC: 新会社「株式会社ヒオックス」を立ち上げました。どんな展開をしていくのですか?
日置さん: 昨年秋、(有)ヒオ(代表:日置智佳子)と(株)キカックス(代表:河村龍介)を統合して、株式会社ヒオックスを立ち上げました。(株)キカックスはオーダーシューズの工房兼ショップで、豊島区高田に構えて20年になります。人の足は長さや幅、形状がそれぞれに違いますが、その人の足に合った靴を作る技術を備えています。ちょっとした工夫で履き心地が変わってくるのです。
新しい会社では、(有)ヒオの強みである「履き心地の良さにこだわったデザイン」と(株)キカックスの生産背景(確かな技術)を活かして新ブランド「ぺルシレーナ(PER SIRENA=人魚のために)」を立ち上げました。
既製品なのに、まるで手製靴のような履き心地を実現したんです。手間と時間をかけた履き心地の素晴らしい注文靴に、見た目も履き心地も近付け、市場性のある価格帯にして自社工房で作れる範囲にプロデュースしました。
KFC: 海外出展グループJLD(日本皮革デザイナーズグループ、会長:日置智佳子氏)の活動について、海外販売の可能性についてどのように考えていますか?
日置さん: 日本の市場がシュリンクしているので、海外に販路を開拓しようと出展をして4年目になりました。
最近発売された中国のファッション雑誌「Little Thing」の編集内容や写真を見ると、ヒオのテイストにぴったり合っていて、ヒオが求められていることを感じています。ならば、どこに持っていけば扱ってもらえるのか、それを探っているところです。
KFC: KFCクリエイティブスタジオを卒業して約10年になりますね。日置さんにとってどんな意味をもっていますか?
日置さん: 当時は睡眠もままならない程忙しかったんですが、入居を機に自宅と仕事場が別になったおかげで、睡眠時間も確保できるようになり、安定して仕事ができるようになりました。私にとってKFCクリエイティブスタジオは、出会いの場であったと同時に、法人としての顔を作らせていただいたとも言えますね。10年経った今も、お世話になり続けているのは私ぐらいではないでしょうか。
【インタビューを終えて】
「可愛くフェミニンで、履き心地のいい靴を作る」それを追求してきた日置さん。靴はサイズ展開が必要で、ロットが小さくなると高額になってしまい、ビジネス的には厳しさも伴います。それでも日置さんはこれまでの多様な経験を活かし、プロデューサー感覚を更に磨いていました。
これからも素敵な靴を、積極的な展開でお客様に届けてほしいと思いました。
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